2023年(令和5年)3月4日(土)
朝日新聞掲載
『典和進学ゼミナール』に聞く
全体講評
5教科とも記述問題は復活したが、「自由度の高い」記述はほとんどなかった。英語や数学、社会、理科の記述は、定型句を当てはめる問題がほとんどで、きちんと勉強してきた受験生にとっては困難なものではなかったろう。
そうしたなか、国語の推敲(すいこう)の問題、数学の「グラフ上の点を数える」問題、社会の資料を解読する問題、理科の生物・化学融合の問題では、受験生の「学力」を見るべく工夫されたものが見られた。国語の難度は上がった一方、理科はやや下がったとみている。
(執筆:相川 貴史 塾長)
英語
大問構成に大きな変化はない。大問1のリスニングは、情報の要点を捉えて判断する問題が多くなった。大問2の語彙(ご・い)・単語の活用は、文章が対話文に変更された。大問5の長文読解はタイトルを選ぶ問いがなくなった。大問6の作文問題は前年度同様、不要な語を含む並べかえ問題だった。
今回は初めて仮定法が設問で問われた。しかし、基本的な知識と文法力が身についていれば十分対応できる。難易度は昨年度と同程度と思われる。
(執筆:講師 白田 哲也、ほか)
国語
大問構成は、1は小説とその感想について、2は古文とまとめノート、3は二つの論説文をめぐる生徒の話し合いとまとめ、4は知識問題集だった。前年度との大きな違いは、記述問題が復活したことだ。字数指定の書き抜き(3題)と、指定字数内での文の推敲が出題された。4には久しぶりに漢文が登場し、漢字の書き取りも復活した。
小説、論説文はわかりやすい文章だったが、古文には難問もあり、全体として前年度より難しくなった。
(執筆:講師 相川 貴史、ほか )
数学
大問6題の構成は前年度と同じ。大問1の計算問題や大問2の小問は基本的なものだ。前年度初めて出題された箱ひげ図も出たが、解きやすい問題だった。
大問5に、ここ2年小問で出題されていた2次関数が復活した。2次関数の部分は難しくなかったが、不等号を用いて解答する問題(2)は、受験生にとっては難しかっただろう。
全体的には、大問の最終設問は例年どおりの難しさで、高得点は取りにくかったのではないか。
(執筆:講師 安孫子 三樹、ほか )
社会
大問構成は前年度と同じく、1が地理、2が歴史、3が公民、4が3分野総合だった。短文記述問題が復活したが、1問のみで、5字以内で答えるものだったので比較的易しかった。小問数は減り、そのぶん配点が高くなった。
設問形式は例年通り、三分野とも図や表、グラフ、写真などの資料読解が中心で、基礎的な選択問題が多かった。ただし、完全正答の正誤問題2問はやや難しかった。全体の難易度は前年度と同程度だった。
(執筆:講師 小笠原 亨、ほか )
理科
大問構成は前年度と変わりなかった。6は生物と化学の融合問題だった。
前年度からの変更点は、記述問題が復活(1題)し、問題文の中に正解の数を明示しない、難しい選択問題が消えたことだ。計算問題もなくなった。
前年度同様、知識を覚えるだけでなく理科への深い理解が必要とされたが、特に化学分野では、初めて見る問題に対処する能力を重視する出題者の意図が感じられた。全体的な難度は下がったとみている。
(執筆:講師 成瀬 勲、ほか )